はじめに
今回は、渡独後約3年間の下積み時代を経て、4年目に4部クラブとプロ契約果たした1人の日本人選手をご紹介します。
ヴィクトリア・ベルリン(FC Viktoria 1889 Berlin)に在籍する山田真史選手です。
大学卒業後、ドイツに渡り今年で5年目を迎えます。そして在籍するヴィクトリア・ベルリンは現在レギオナルリーガ(4部)に所属しており、同じリーグには日本代表の原口元気選手も以前在籍したヘルタ・ベルリンのセカンドチームも所属しており、全18チームで3部昇格を目指し争っています。
高校、大学時代
地元の奈良育英高校に進学。その後、奈良国体選抜、3年次にはキャプテンとして2012年全国高校選手権ベスト16(優秀選手)、日本高校選抜に選出されました。 そして、近畿大学に進学。2年次から試合に出場し始め、2014年にはインカレ出場、関西学生選抜にも選出されました。卒業後、ドイツへと渡ります。
下積みの1年目
ドイツでの最初のチームは6部のFC Dorndorfというチームに所属しました。
約9ヶ月間在籍したのちに、冬の移籍期間で別の地域にあるEGC Wirgesという6部のチームに出場機会を求め移籍しました。
人と人とで行われるスポーツなので、もちろん監督・チームメイトと気の合う・合わないやチームのサッカースタイルに合う・合わないもあります。
ですからステップアップの移籍だけではなく、出場機会を求め移籍することで活躍するパターンもあります。 *ドイツではプロ同様、アマチュアにも年2回(夏:6/1~8/31、冬:1/1~1/31)の移籍期間がある こうして1年目(語学ビザ)は6部でプレーしながら、語学学校にも通いドイツ語を少しずつ習得。
ステップアップの為にしっかりと勉強にも励みました。 そしてステップアップをするにあたって試合に出場し続けるということは、非常に重要なことです。ドイツに来たばかりの選手、目標を高いレベルに設定している選手は、「出れるか出れないか分からないが上のリーグに行きたい」と思いがちです。
もちろん、高い目標を持つことは大切ですし、それでレギュラーを取って活躍するのがベストですが、自分が思ってる以上にドイツ語とサッカーの違いに慣れるには時間がかかります。 つまり、1年目は自分の現在地を客観的に分析し、チームの主力で活躍できるチーム選びをすることで試合勘を維持できたり、自信が付くことに繋がっていきます。
着実にステップアップした2年目
2年目は、日本代表の大迫勇也選手が在籍するヴェルダー・ブレーメンの3軍にあたるU-21チーム(5部)のトレーニングに参加することができ、無事に契約することができました。 試合にもサイドバックとしてフル出場を続け、チームに貢献するも2年目は5部リーグを8位でフィニッシュ。シーズン終了後、U-23チーム(3部)への昇格を目指しましたが、年齢などの問題もあり、昇格することが出来ずにブレーメンを退団することとなりました。
4部クラブへ移籍の3年目
ブレーメンを退団し、チームを探している時にブレーメンの監督から連絡があり、4部所属のシュバルツ・ヴァイス・レーデン(BSV Schwarz Weiß Rahden)というチームを紹介してくれることに。 そしてトレーニングに参加し、監督からの評価も高く、無事に入団することが決定しました。しかし、プロ契約というわけではなく、チームのスポンサーである会社が就労ビザを出してくれるということで、その会社で働きながらサッカーをするという生活スタイルです。 *ドイツでの基本的な長期滞在方法は1年目語学ビザ、2年目ワーホリビザとなっおり、3年目以降は現地の会社(日本食レストラン含む)から就労ビザを出してもらう又は、プロ契約でチームからの就労ビザとなります。 試合にもコンスタントに出場し続け、監督の信頼を勝ち取っていきました。しかしシーズン終了後評価してくれていた監督が他チームに移籍することになりました。ドイツでは結果が全ての世界なのでアマチュアクラブであっても監督交代は当たり前のように行われますが、監督が代わればまた一から新監督と信頼を築いていかなければいけません。前監督の信頼を得ていただけに来シーズンは少し大変かと思われましたが、監督交代によってなんとプロ契約へと繋がっていきます。
プロ契約を果たした4年目
前述しましたがドイツでは監督交代は当たり前のように行われます。もちろん成績不振や金銭面での問題に限らず、結果を残したために上のチームから引き抜かれるなど理由は様々です。 そして3年目でお世話になった監督の移籍先はなんと現在所属するヴィクトリア・ベルリン。さらにその監督は高く評価していた山田選手をプロ契約としてヴィクトリア・ベルリンに引き抜いたのです。ドイツに渡り、ちょうど3年目が終わる頃です。無事に新チームとプロ契約を結び、チームからも就労ビザを貰うことができました。 プロ1年目の今年はシーズン序盤の怪我の影響もあり、フル出場はあまりできていませんが、怪我から復帰しコンディションも上がってきています。1月のプレシーズンマッチではブンデスリーガ2部のハノーファーと対戦。この試合山田選手はフル出場し、格上相手に3-3のドロー。本来の調子が戻る中、つい先日来シーズン(2020/21)の契約延長を結びました。
おわりに
こうして山田選手は置かれた環境でひたむきにサッカーと向き合い、そして海外と日本の違いに上手く順応し、サッカー大国ドイツでプロ契約を果たしました。もちろんプロ契約がゴールではなく、あくまでもスタートラインです。そして本当の勝負はこれからです。来シーズンはさらなる活躍をしてくれることでしょう。これからの山田選手の活躍が楽しみです。
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